これさえあれば大丈夫!日本語教師に必要な教科書、参考書はこれ!
ここでは教案作りにスポットを当てて、生徒さんとの授業で使うの教科書、教案を作るときに文法、教え方などについて自分が勉強するための参考書に分けて、完全に主観的な意見でご紹介します。
教科書
みんなの日本語初級Ⅰ、Ⅱ(スリーエーネットワーク)
言わずとしれたメジャー教科書で、日本語学校では圧倒的なシェア。副教材や教え方のマニュアルも充実しており、教師になったばかりの人でも使いやすいです。
私は日本語学校勤務時代に使用していたのもあって、独立したあともプライベートレッスンで使用しています。
やはりたくさんの人に支持されているだけあって、語彙、文法の提出順、内容はよく考えられていて、学生にとって理解しやすい流れで授業が進められるのではないかと感じます。
良くない点としては、副教材なども全部揃えるとかなり費用がかかる点です。またプライベートレッスンを行う場合、本冊の練習はやや単調で不十分ですので、教師が追加で教材を作る必要があると思います。
私は長い時間この教科書を使って教材を作ってきたので、プライベートレッスンでは学習者の母国語の翻訳・文法解説のみで授業を進め、文型練習帳を宿題としています。
げんきⅠ、Ⅱ(the Japan times)
プライベートレッスンで、生徒さんが「自分で勉強している」という場合に持っていることが多いように感じます。
いい点としては一冊で文法解説と練習がまとめられていること、英語の説明が充実していることです。そのため学生が1人でも勉強しやすいです。
個人的に使いにくいと思う点は、語彙が五十音順に並んでいることで、各品詞毎に意味が近いもの、例えば場所に関する言葉はまとめて書く、というようにしてもらったほうが使いやすいと感じます。
あとは、「この文法(または語彙)はもっと早く導入したほうがいいのに」と思うようなこともありますが、こう思うのは自分がみんなの日本語で教えるのに慣れてしまっているから感じているだけかなーとも思います。
できる日本語初中級(アルク)
レベルとしては初級の文法を一通り学習し終わった人向けぐらいでしょうか。
この教科書は会話に重点をおいていて、その名のとおり実際の場面で「できる」ようになることを目的に作られています。
構成としてはイラストが多用されていて、文字を読んで会話をするのではなく、イラスト、場面から自分で会話を考えるような活動が多くて実践的なところがいい点です。
文法の難易度は高くないので、初級文法は一通り勉強したけど、スムーズに使えない。会話練習をもっとしたいという生徒さんにおすすめです。
できる日本語中級(アルク)
できる日本語初中級の続編ですが、初中級とはかなり構成が違います。
この教科書の特徴は読む、書く、聞く、話すの4つの技能がバランスよく取り入れられていることです。
例えば、中級の教科書として日本語学校でよく使われている「テーマ別中級から学ぶ日本語」読む、書く活動に重点をおいており、話す活動を意識的に増やさないとあまり会話が上達しません。というか中級の教科書は硬い文法が多いせいか、読み書きに重点をおいた教科書が多いです。
その点、この教科書はリスニング、ロールプレイなども多く取り入れられていて、学習者にとっても楽しめるのではないかと思います。
中級以上の生徒さんで4つの技能を全部伸ばしたいという方にはおすすめすることが多いです。
「日本語能力試験対策」日本語総まとめN3, N2 ,N1(文法、語彙、読解、聴解)
JLPT対策の授業を行う場合使用しています。
いい点としては、文法、語彙、読解、聴解、漢字と、学習者の課題に応じて使用する教科書を選べるところです。
また文、単語に英訳があり、1人でも勉強しやすいです。
JLPT対策の本には英訳がなく、1人で学習するのは難しいものが多いです。
私が特によく使用しているのは文法と語彙です。(読解、聴解は自学でしてきてもらってわからないところを質問してもらうというスタイルで使っています)
文法は、似ていて間違えやすい文法が1つのページにまとまっており、細かい違いを説明しやすいです。
また、ある程度網羅的なので、中級レベルで「文法に不安がある」という生徒さんにわからないところだけを選んで復習させるという使い方もできます。
語彙は各ページでテーマ毎によく使う語彙がまとめられているところがいい点です。
テーマがあるので語彙を学習、その語彙を使って会話練習という流れで使いやすいと思います。
ちなみにN5, N4はJLPT対策としてするよりも、みんなの日本語、げんきなどで初級の文法、語彙を体系的に勉強したほうが効率的だし、試験対策としてもそれで十分と感じるので、使っていません。
新にほんご敬語トレーニング(アスク出版)
敬語を重点的に勉強したいという生徒さんにおすすめしている教科書です。
初級の教科書で、尊敬語、謙譲語の形を勉強するだけでは、実生活の中で敬語を使う能力は身につきません。
この教科書ではまず敬語の基本を学んだあと、「誘う」「お願いする」のような実際の場面でよく使う敬語表現、練習ができ、敬語が「使えるようになる」までの手助けができる構成になっています。
シャドーイング 日本語を話そう!初〜中級編(くろしお出版)
私は、一人でできる会話が上達する一番効果的な練習はシャドーイングだと考えています。
もし生徒さんが好きなドラマ、アニメ、映画などがあればそれを利用してシャドーイングをするのもいいですが、そのようなものがない場合、おすすめしています。
短い文がたくさん収録してあるので、何度も聞いてまねることで日本人のような発音、イントネーションを身につけることができます。
イラストで覚える漢字1000(ナツメ出版企画)
「漢字を勉強したい!おすすめの本教えて!」という生徒さんに紹介している本です。
JLPTの対策の日本語総まとめを紹介した際、漢字を含めなかったのですが、総まとめも含め、漢字の本は一冊の収録字数が少なく、細かく本が分かれている場合があります。
ですが、この本は収録字数がN5〜N2レベルの1,000字と多く、書き方、意味、単語などの情報もしっかりと記載されていて、継続的に勉強する人におすすめです。
参考書
日本語文型辞典(くろしお出版)
その名の通り、日本語の文型がまとめられている辞典です。
教える文法を事前に勉強しておくことは日本語教師として必須の作業です。
日常生活で使うことと、学生に論理的に教えることは全く違いますので、どんな活用形と一緒に使うのか、どんな言葉とよく一緒に使うのか、または使わないのか、似ている表現との違いは何か、ということを勉強しておかなければなりません。
この辞典は収録されている文型の数が多く、例文も豊富です。
文型の説明はやや硬い文章で書かれていることが多いので、そのまま学生に説明として使うことはできない場合も多いですが、基本の文法の辞書として持っておくことをおすすめします。
日本語表現文型辞典(アルク)
こちらも文型の辞典です。
日本語文型辞典に比べて、やや収録されている文型の数が少ないようですが、こちらは比較的平易な文で説明が書かれており読みやすいです。
文型辞典と合わせて持っておくと便利です。というのも、文型辞典には載っているけど、表現文型辞典には載っていない、またはその逆ということがあったり、辞典によって説明が違ったりする場合があります。
ですので、今回の授業ではどうやって教えればいいのかというのを深く理解するためにも複数の文型辞典を確認するといいと思います。
初級・中級日本語文法ハンドブック(スリーエーネットワーク)
文型辞典とはやや異なり、こちらは例えば「格助詞」「時制」「自動詞と他動詞」のように、「文型」だけではなく「文法」全体にフォーカスした参考書です。文型辞典だけでは学べない、表現による意味の違い、使用のルールなどが詳しく説明されています。
日本語を教える上で基本的で大切なものが多いですので、この参考書で勉強しましょう。
初級・中級日本語文法と教え方のポイント(スリーエーネットワーク)
こちらの本は文法ごとに教えるときのポイントをまとめたものです。
学習者が間違えやすいところ、よく出る質問なども紹介されており、教師が学んで、教案を作る流れに合わせて使えます。
この記事では、教案・教材作りに役立つおすすめの教科書と参考書を紹介しました。
完全に主観ですし、ここに紹介されていない教科書にも役立つものはたくさんあります。
学習者のバックグラウンド、ニーズに合わせて柔軟に使い分けましょう。
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