みんなの日本語教案の記号・用語説明、授業のポイント

2020年11月12日

記号・用語説明

【文法1:N1はN2です】‥新しく導入する文法です。「文法1」は翻訳・文法解説のGrammar Notesの文法の番号を表します。

T…教師

S…学生

N…名詞

V…動詞

A…形容詞

《PC》‥絵カード

《FC》‥文字が書かれたフラッシュカード

《レアリア》‥実物

《みん日PC》‥みんなの日本語付属の絵カード

《みん日》‥みんなの日本語翻訳・文法解説

《文作成》‥文作成問題

《G》‥ジェスチャー

《板》‥板書

導入‥始めて勉強する文法の意味を理解させる活動

コーラス‥学生にコーラスさせる

リピート‥教師の発話を反復する練習

1人ずつ‥1人ずつ発話させる

変形練習‥教師が示した語を他の形に変える練習

代入練習‥教師が示した言葉を、文の中の単語を入れ替える練習

作文練習‥PCを見て、または自由に文を作らせる練習

完成練習‥教師が示した不完全な文を学生が完成させる練習

QA‥質問応答練習

ペアQA‥学生同士でペアを作らせQAをする。決められた質問が終わったら、自分で考えて自由な質問をするよう促します。その後、ランダムに二人のペアにQAをさせて全体で確認します。どんな練習をさせるのか、まず最初に教師と学生で数回やってみせると、今から何をするのかクラス全体が理解でき、活動がスムーズになります。

チェーンドリル‥教師が学生Aに質問し、学生Aは学生Bに、学生Bは学生Cに質問、というようにQAを続けていく練習

会話練習…みんなの日本語の練習Cに当たる会話ですが、絵を見るだけで会話を作れるように、またより自然な会話になるように作成しました。扱う場合は練習Cの代わりとしてお使いください。

 

 

全ての課に共通するポイント

・基本的にはグループ授業を想定していますが、個人授業でもそのまま応用してもらえます。

・ここでは文字学習は含めませんが、文法と同時に始め、ひらがなとカタカナはできるだけ早めに習得させることをおすすめします。また、教科書の進度に合わせて漢字も同時進行で教えてください。

・この教案では、比較的細かく練習を行っていますが、特にプライベートレッスンでは学生の定着度に合わせて、進度を速くしたり、遅くしたり調整しましょう。理解が早く、スムーズに話せるのにしつこくリピート練習をさせたりするのは学生の授業に対する満足度を下げることにもつながります。

・授業の予定、時間に合わせて、練習を増やしたり減らしたりして調整してください。例えば、復習であれば導入は飛ばして練習だけをすればいいと思います。

・授業の始めに、必ず前回の授業の復習をしましょう。私の場合はPCを見せて文を作らせる。会話に使える文法の場合はQAをして復習しています。スムーズに使えないようなら、変形練習などの文型の練習からもう一度しましょう。

・教科書は、プライベートレッスンでは翻訳・文法解説を使っていて、本冊は使っていません。練習A、B、Cに当たる練習は自分で教材を作ってやっています。

 ですが日本語学校などでは本冊を使って練習A、B、C、会話などを扱っている場合も多いと思いますので、扱う場合はどの過程でやるのかを記載しておきます。

・練習Aは普段扱っていません。練習後に文型を確認させる目的で読ませるという方法では使えるかもしれません。

・練習Bはできるだけ発話、会話練習に使い、授業後に宿題として書かせるという方法がいいと思います。

・練習Cは文字を読ませるだけではなく、みんなの日本語付属のPCを見ながら、会話をさせるといい練習になると思います。練習Cの代わりに、このウェブサイトにある会話練習を使用することもできます。

・授業の進行は必ずしも練習A1→2→3ではありません。この方が理解しやすいかなと思うところは文型の導入順も変えています。

・授業中の板書はメモ程度で、基本的には会話中心の授業をします。授業中は書く活動は極力省き、発話、会話練習にできるだけ時間を使います。授業後、自学としてみんなの日本語の文型練習帳、標準問題集などを使用して宿題をさせるという流れです。

・単語は授業前に自学で覚えてきてもらうことを前提としています。単語をただ覚える作業には教師は必要ないですし、覚える速度も人それぞれなので、自分のペースで覚えさせます。学生の単語の覚えが悪い場合は、課の始めの単語の確認に時間を使います。

・直接法で行いますが、学生が英語を理解できるようであれば、単語レベルでは英語も使用します。通常のコミュニケーションで英語を使いすぎると、学生が英語で質問してきたり、英語で話すことに慣れてしまいますので、可能な限り日本語でコミュニケーションをとりましょう。

・文法の導入時、学生の理解があまりできていないと感じたら、翻訳・文法解説のGrammar Notesを見せるのもおすすめです。特にプライベートレッスンのときは、回りくどい説明は好まれないことが多いので、手っ取り早く母国語の解説を読ませて発話練習に進んでもいいと思います。

・教材作成には主に「いらすとや」のイラストを使わせて頂いています。わかりやすいデザインで、とても見やすい上、びっくりするほど細かいところまでたくさんのイラストがあります。また、全て無料で商用利用もできますので、本当におすすめです。

・このサイト上のPCはどうぞご自由にお使いください。そのままコピーして使ったり、これを参考に授業に合った物を作ったりして、ご活用いただければと思います。

・PCは一枚ずつ見せるのではなく、その日の授業で使うPCを一枚のプリントにまとめてワークシートとして配り、ペアワークなどに使うこともできます。

・教材、PCには補助的に英語を使っていますが、学生の大半が、英語が理解できないような場合は日本語に変えて使用してください。